Tuesday, October 20, 2015

「朝のリレー」






 カムチャッカの若者が
 きりんの夢を見ているとき
    
    メキシコの娘は
 朝もやの中でバスを待っている
 
    ニューヨークの少女が
 ほほえみながら寝がえりをうつとき
 
    ローマの少年は
 柱頭を染める朝陽にウインクする
 
    この地球で
 いつもどこかで朝がはじまっている

 ぼくらは朝をリレーするのだ
 経度から経度へと
 
   そうしていわば交換で地球を守る
 眠る前のひととき耳をすますと
 
   どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
 それはあなたの送った朝を
 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ


(谷川俊太郎「谷川俊太郎詩集 続」思潮社 より)



知るべきなのは

ひとりきりで眠ってても、
どこかの誰かと寝息を合わせてること

ひとりで起きてるようでも
どこかで誰かも目を覚ましていること




みんながそれっぽい理由をつけて
それが嫌いだと口を揃えても

確かな理由ひとつもなく
私はそれを好きだと言っていいこと









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