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「死ぬまでにしたい10のこと」



2016年、最初に観た映画。とても好きでした。








若くして結婚した23歳のアンが突然自分が余命わずかなことを宣告されて、その運命に向き合おうとする物語。アンには二人のまだ幼い可愛い娘と優しい旦那さんがいて、トレーラーで暮らしてる。決して裕福ではないけれど、幸せな家族。


邦題は「死ぬまでにしたい10のこと」
原題は「My life without me」



こっちの方が断然いい。


確かに、死を宣告された主人公は「死ぬまでにしたい10のこと」をノートに書き出すんだけど、それは例えば「毎日娘たちに愛してると言う」とか「髪と爪を変える」とかどれもわりと簡単に実現出来るものばかりで、なかには「娘たちが気に入る新しいママを見つける」とか「夫以外の人に付き合ってみる」とかもあるんだけど、これやらなきゃ死ねない!死ぬまでに達成するぞ!っていう執念じゃなくて、静かに死を受け入れる作業をしているように感じた。




私も主人公と同じ23歳。あと二ヶ月で死ぬって分かったら、運命を呪って、苦しんで、辛くてあがくだろう。

きっと、きっと彼女もそうなんだけど、この物語はそこに焦点を当てるんじゃなくて、むしろ“死”というフィルターを通したときにはじめて彼女が気付いた、世界の美しさや、生きている喜びを切り取っていた気がした。


私がすごくいいな、と思ったのは
スーパーマーケットで、急に綺麗な歌をBGMに主人公以外の人々の動作がスローモーションになって、ただレジを打ってる人も、棚の商品に手を伸ばす人も、まるで踊っているように見えるシーン。



“ひんやりとしたスーパーが好き 
お客は添加物が入ってないか食品ラベルを念入りに見る
でも ため息をついて食品をカゴに入れる
有害だけど 好きだから
誰も死を考えない”


命が有限だということを本当に気付いたアンにだけ見える世界だ。


何より素晴らしいなと思ったのがアン役の女優さんサラ・ポーリーの表情の演技。


ふとみせる死を憂う顔、絶望が浮かんだ瞳、だけど後半のあるシーンで彼女が見せる笑顔は、酷な運命を受け入れた人だけがみせる表情だった。年末に亡くなった私のおばあちゃんも、亡くなる一週間前、別れ際あの笑顔で手を振ってくれた。




アンは「夫以外の人と付き合ってみる」っていう項目も実現するんだけど、一線踏み越えるときのシーンが最高にロマンチックだった。



というか、旦那さんとのシーンより、出会いから最後まで、不倫相手とのシーンの方がずっとずっと感傷的で美しかった。だけど旦那さんから気持ちが離れたわけでもなくて、不倫相手と居るときだけ、母でも妻でない23歳の女性としてのアンがいたような気がした。









他にも、主治医、美容師、お隣さん、母親、父親、印象的な登場人物が沢山いて、みんな少し癖があるんだけど愛すべきキャラクターだった。(ダイエット中毒の同僚には少し苛立ったけども)


「いつか」じゃなくて今日や明日に楽しみを抱いて生きようと思った。
23歳、そして新しい年のスタートに、この映画に出逢えてよかった。












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